2015年05月22日

Posted by 天美
at 10:20
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チパチと言う耳障りな

チパチと言う耳障りな


それから何日もしないうちに真理子が今度は見知らぬ男を連れてやってきた。あまり風采の良くないおよそ真理子に似つかわしくな皇室纖形 電話い男である。

(誰だ?あの男。)

変な小荷物を持っている。中からパチパチと言う耳障りな音が聞こえる。部屋の中を興味深そうにキョロキョロと見回している。その嬉々とした様子が何となく癇に障る。

(さては本当は今も幸太郎様を狙っているのに変な男を連れてきて私を騙くらかすつもりだな。)

智代はそうは問屋が卸すものかと注意深く真理子の様子を探る。智代はその男に近寄ってみる。すると男の持っていた小箱の中から聞こえる音が大き皇室纖形 facialくなる。何だろう、その荷物に引っ張られるような感じがする。

 嫌な感じがして智代は二階の部屋に移動した。そこは元々真理子や百合香が過ごしていた部屋だ。智代は疲れると最近はここで休むようにしていた。この部屋は居心地が良い。お姫様が眠るようなベッド、趣味の良い調度品、百合香が居た頃とは内装が変わっているが上品に設(しつら)えてある様子に満足している。そうしてこここそが本来自分の部屋になるべき場所だったのだと思うようになった。長い間、他の者に占拠されてしまっていた。ようやく本来の主のものになったのだと智代は思った。

 真理子の様子が気にはなったが智代はベッドに横たわると少しうつらうつらし掛けた。ここのところずっと幸太郎の傍にいて殆ど眠っていなかった。眠るといつ起きるか分らないので智代は眠らないようにしていた。やっと幸太郎と二人きりになれたのだからその時間を無駄にするのは勿体無いと思っていたからである。

(駄目だ、駄目だ、あの女が来てい皇室纖形 facialるのに眠ったりなどしては。)

眠りそうになって智代は頭を振った。眠っている間に幸太郎を誘惑でもされたら面倒だ。智代は起き出してまた階下に降りようとしたときにあの男が部屋の中に入ってきた。両手で変な小箱を大事そうに持っている。さっきの荷物の中にあった物のようだ。あの変な音が大きくなっている。男が近づいてくるとその音は更に大きくなった。その音は智代の頭の中にガンガンと響いてくる。

「ええい、煩い!」

智代が怒鳴るとその小箱の真ん中にあるレンズのような物から光が出た。光は智代を捉える。

「凄い、凄いぞ・・・。」

男は独り言のようにそう呟く。その顔はさっきより更に嬉しそうにしている。光は智代に纏わりついてその小箱の中に吸い込もうとする。智代は頭が引っ張り込まれるような気がして大きく頭を振る。身体が粉々に砕けそうな感覚が走り抜ける。

(やっぱり、私の邪魔をしに来たんだな。そんな変な物を持ってきて私に害を成す気か!)

この男は真理子に頼まれて智代の邪魔をしにきたのだと思った。智代をわけの分らない機械で殺す気なのだと。こんな男をここへ寄越してその間に真理子は今頃下で幸太郎と。そう思うと怒りがむらむらと増大し瞬く間に頂点に達し爆発する。それと同時に智代に纏わり付いていた光が弾ける様に散った。

「わっ!」

男は弾かれたように手に持っていた小箱を下に落とした。

「な、なんだ・・・?」

男は手が痺れているのか両手をさするように握り合わせ、落ちた小箱を拾おうとした。

「あ・・あ~あっ・・・。」

小箱を見て男は酷く落胆しているようだ。そうしてまた部屋の中を見回す。

「凄いエネルギーだ。こんなの・・初めてだ。」

さっきは落胆していたようなのに今度は嬉しそうにしている。

(何を言っているんだ、こいつは。)

男の言っている事は分らないが智代はその横をすり抜けて幸太郎のところに移動する。幸太郎はいつもの椅子に座っていて真理子は台所に居た。何も無かった事に智代は胸を撫で下ろす。

「全く、いつまでも私の神経を逆撫でする奴らだ。とっと帰れ!」

智代はそう嘯(うそぶ)いたがさっきの事で疲れが出たのかそのまま意識が無くなっていった。








 
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